会社設立時に事業主が行うべき手続きをまとめて分かりやすく解説
2021年09月15日
会社設立の前には、基本事項を決定し、会社の憲法ともいえる定款を作成する必要があります。会社を設立するにあたって、法人登記するための書類の準備と提出が必要です。会社を設立した後には、保険関係の手続きや税務署への届け出などがあるので、何が必要かを前もって調査しておくことが重要です。
会社設立時は、事業主にとって非常に忙しい時期です。会社の設立にはさまざまな手続きがあるので、事業主は数々の手続きをこなしていかなければなりません。
本記事では、会社設立時に事業主が行うべき手続きをまとめてわかりやすく解説します。
Contents
会社設立前に事業主が準備すべきこと
会社を設立しようと思ったなら、準備すべきことが非常に多くあります。
事業をスムーズに開始できるように、どのような手続きが必要か知っておくことが重要です。
会社設立前に事業主が準備すべきことをいくつか見ていきましょう。
基本事項の決定
会社設立に際してまず行わなければならないのが、基本事項の決定です。
基本事項には、次の項目が含まれます。
- 会社名(商号)
- 会社の住所
- 事業目的
- 発起人
- 資本金
- 株主総会や取締役会の設置
- 事業年度
- 会社設立日
- 会社印 など
これから設立する会社がどのような目的で、いつ設立されるものなのか、どの程度の規模になるのかなどを細かく決定しておかなければなりません。
さらに合同会社にするか、株式会社にするかなども重要なポイントです。
合同会社の方が設立にあまりお金がかからずにすみますが、株式会社の方が高い知名度を誇ります。
さらに、会社の住所を決定する際にも注意が必要です。
もし賃貸物件に住んでいる場合、会社を設立して法人登記するとなると契約違反になる恐れがあります。会社設立の基本事項決定においては、賃貸契約書なども確認する必要があるでしょう。
定款の作成
会社の基本事項が決まったら、次は定款の作成です。
定款とは会社の憲法のようなもので、会社には絶対に必要なものです。
定款には必ず記載すべき事項があるので、定款の作成ではこの「絶対的記載事項」があるかを確認しましょう。
絶対的記載事項は、次のとおりです。
- 事業目的
- 会社名(商号)
- 本店所在地
- 出資される財産の金額
- 発起人の氏名や住所
- 発行可能株式総数(株式会社の場合)
特に事業目的には注意しなければなりません。
定款にかかれていない事業を会社が行うことはできないからです。
今は取り掛かっていなくても、将来的に参入する事業があるのならば定款に記載しておく必要があります。定款が完成したら、公証役場で認証してもらい完了です。
資本金の払い込み
続いて行うべきなのは資本金の振り込みです。
資本金は発起人か出資者の全員が1人の銀行口座に振り込まなければなりません。資本金は「銀行振込」でなければならないので、必ずこの手続きを行いましょう。
もし個人で会社を設立する場合であっても、一度出資金に該当する金額を引き出してから再度振り込む必要があります。
会社設立のための資本金は1円でもよいのですが、会社の信用について考えると100万円から1,000万円までにしておくのがよいでしょう。
1,000万円を超える資本金の場合には初年度から消費税が課されるので注意が必要です。
資本金の払い込みが完了したなら、通帳の表紙と1ページ目、さらに振り込みがわかるページをコピーします。
払込証明書を作成し、通帳のコピーとともに綴り、割り印をします。
登記書類の準備
さまざまな手続きと同時進行で登記書類の準備を行わなければなりません。
会社設立に際しては、法務局への法人登記が必須です。
登記書類には、次の書類が含まれます。
- 登記申請書や登記事項を記載した紙
- 定款
- 発起人の決定書
- 印鑑証明書
- 本人確認書類
- 出資の払い込みを証明する書類 など
こうした登記書類を自分で揃えるのが難しいという方は、司法書士に依頼するとよいでしょう。
ただし、司法書士に会社設立の法人登記を依頼する場合には、その費用もかかることを計算しておく必要があります。
会社設立時に事業主が行うべき手続き
会社設立時に事業主が行うべき手続きは、法人登記です。
法人登記は設立する会社の所在地を管轄する法務局で行わなければなりません。
さらに会社設立の法人登記は資本金を払い込んだ後2週間以内に、会社の代表取締役が行う必要があります。
登記の申請自体は書類を提出するだけで完了しますが、書類に不備があったり法務局側から確認したいことがあったりする場合には、連絡が来る可能性があります。
法人登記に際しては、いくつかのポイントを押さえておくとよいでしょう。
まず法人登記では15万円分の収入印紙を貼る必要があります。
法務局に何度か訪れて書類をチェックしてもらい、最終段階で収入印紙を購入して貼るのがおすすめの方法です。
さらに、法人登記の書類を提出した日が会社設立日となります。
もし会社設立日を正確に決めておきたい方は、いつ提出するかについても考慮しましょう。
会社設立の法人登記書類の提出は、郵送でも可能です。
ただし、郵送の場合には、書類に不備が見つかった時の訂正が難しいかもしれません。
登記書類が確実に届いていることを確認するために、配達記録郵便や書留を使うようにしましょう。
会社設立後に事業主が行うべき手続き
会社設立は法人登記で完了ですが、行うべき手続きはまだまだあります。
会社設立後に事業者が行うべき手続きをいくつか見ていきましょう。
社会保険の手続き
会社設立後に必ず行うべき手続きとしては、社会保険の手続きが挙げられます。
会社設立後には、社会保険に加入することが義務付けられているので、必ず手続きを行いましょう。
厚生年金と健康保険に関しては年金事務所、労災保険に関しては労働基準監督署での手続きが必要となります。
ただし事業主だけがおり、他の従業員がいない場合には労災保険への加入は必要ありません。
従業員がいる場合には、労災保険とは別に雇用保険にも加入しなければなりません。
必ず手続きを行いましょう。
税務署と市町村役場への届け出
社会保険と別に、税務署への届け出も必要です。
本社の所在地を管轄している税務署で、法人設立届出、青色申告の承認申請、給与支払事務所等の開設届出等の届出や申告をしなければなりません。
この他にも必要な手続きがある場合もあるので、必ず税務署の窓口でどんな手続きが必要かを確認することも重要です。
税務署で届出を行った後は、市町村役場で同様の届出を行うことになります。
各種契約書の作成
会社を設立した後には、さまざまな契約書を準備しなければなりません。
従業員を雇用するのであれば雇用契約書、特定の業務を外部委託する場合には業務委託契約書や秘密保持契約書などの準備が必要です。
オフィスを借りるのであれば賃貸契約書などの準備を行わなければなりません。
どのような契約書が必要かについても確認し、前もって準備しておきましょう。
会社設立時の手続きの委託先
今まで紹介した3つの業務は外部に委託することができます。いずれの業務も専門性が高いため本業が忙しい方は外部の専門家に委託することをお勧めいたします。
では、次に具体的に何を誰に委託していいのかについて見ていきましょう。手続きによっては違法行為になる場合があります。例えば、社労士が登記の手続きを行った場合は違法行為になります。専門業務は専門家に依頼するのが手続きをスムーズに進める早道です。
- 行政書士 定款などの書類の作成
- 司法書士 定款などの書類の作成と登記
- 税理士 税務、決算
- 社労士 社会保険、労働保険、就業規則
このように各専門家は得意とする領域が異なりますが、横断的に他の専門家と提携していることが多いため、信頼できる専門家を見つけたら専門領域に関わらず相談されることをお勧め致します。
まとめ
準備をしっかり整えて会社設立に臨もう
会社設立時には、前後も含めさまざまな手続きが必要になります。
書類や手続きに不備があると、会社設立が予定通りに進まず事業に支障をきたす場合もあるでしょう。
トラブルを防ぐためには、十分前もっての準備が不可欠です。
必ず準備をしっかり整え、会社設立前後に行うべき手続きについて調べたうえで作業に臨むようにしましょう。